昔の人は「恋すればいいことがある」という、恋愛幻想を言っている。
いわば、無謀な「恋愛万能主義者」だったわけだ。でもいまは違う。
海外はテロなど物騒だし、国内でも女性のひとり暮らしを狙った犯罪が多い。たとえ交際相手でも、昨日までやさしかった恋人や異性の友人が「別れ」を告げられた途端、狂気のストーカーと化すこともある。
男女とも「見知らぬ相手」に、強い警戒心を抱く時代なのだ。私か取材した20代は、男性でも「よく知らない相手(女性)とは、深入りしたくない」と洩らす。
中には、「街で出会って2回ほどデートしたけど、嫌いになったし後腐れをなくしたいから」と言って、別れたカノジョのケータイから、わざわざ自分の電話番号やメールアドレスを全部消去した、という20代男性もいた。それほどリスクを嫌うのだ。

用心深い様子は、データからも窺える。先の「出生動向基本調査」で夫婦が出会ったきっかけを見ると、「街中や旅先で」は、82年には8%を超えていたのに、05年現在はわずか4・5%しかいない。
いわゆる「運命的な出会い」から結婚に至るカップルは、80年代の半数程度まで減ってしまったわけだ。では逆に、どんな場所で出会ったカップルが長続きし、結婚に至りやすいのか?例年上位(―位か2位)にランクされるのは、やはり「職場や仕事で(出会った)」だ。
最新の調査(05年)では、82年以降ずっとトップだった「職場や仕事で」が、「友人・兄弟姉妹を通じて(31%)」に次ぐ、僅差の2位(30%)に降格した。おそらく理由は二つ。
前出・Y田昌弘教授も言うように、80年代までと違っていわゆるお嫁さん候補の女性社員が職場に採用される機会が減ったのと、社内に独身者の世話役をかって出る上司や先輩が少なくなったから。それでも、いまだに「職場や仕事で」が1位と僅差の2位、「学校で(11%)」も3位に入る。
つまり、運命的に出会うハプニング恋愛より、身近な異性と愛を育むエコ恋愛のほうが、結婚に至る確率が遥かに高いわけだ。遠距離は結婚に至りにくいこれを、実験結果から立証した学者もいる。
その一人が、アメリカの心理学者・Bサード。彼は男女の距離と恋愛、結婚との関係について長年、研究を重ねていた。

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